みずにんの日記

のべです!考えたことを記録しております!

ドライブ・マイ・カーの表現の工夫読解

先週、「ドライブ・マイ・カー」観に行ってきました。

どなたかこの映画、観られた方いらっしゃいますか?

 

村上春樹の世界観はなかなか映画にできないだろうよ!!と、村上主義者のわたしは、映画化に関して気になりながらも、期待を裏切られるのが恐くて家でじっとしてました。

が!わりといい評判だったので、特別上映でその日一度しかやらない9:20〜上映を狙って観に行きました!(単純な動機)

 

私の周りに観た人はまだ1人もおらず、リアルで感想を共有できないのでここに。

 

 

まず、わけのわからないけれども個性の強い登場人物たちの色が、すごくよかった!(褒めています)

雰囲気が村上春樹の世界観とマッチ!していて、濱口竜介さん、いいですね〜!と、映画を観ながら監督を心の中で何度も褒めておりました。

 

ここからネタバレでーす!

というかみずにんの読み取りでございます!

 

家福は事故の日、左目が緑内障であることがわかる。この事故の直前(だったと思う)、家福の妻、音とその仕事仲間が不倫している現場を目撃している。(えげつない)

事故の日、緑内障がわかって、医者に「進行していくと目が見えなくなる、目薬が大切だ」と告げられるんですね。これがメタファーです。(あぁ、おもしろい)

これはね、きっと目が心をあらわしているんだと思います。左目が家福の、閉ざされた心です。右目が家福の正直な心というか、曇りのない心なんですね。左目がどんどん曇っていってしまう原因は、妻である音の不倫です。(なんと、音は不倫を繰り返していて、家福は気づいていながらも関係が崩れるのが恐くて黙っていたのである!)

だから、目薬というのは、涙のようなもの。医者の言葉は、涙を流さなければ(自分の真意に正直にならなければ)、目が見えなくなる(心が完全に閉ざされてしまいますよ)ってことだったんだと、あとからわかりましたね。

この伏線の回収がえげつなくおもしろいんです。

そのあと音が死に、家福は、広島に行くんですが、広島というのは日本地図でいうと左に位置しますよね。すなわち、この物語は、左右の軸で読み取ることができます。

左は、感情を隠すイメージかな〜

で、色々あってドライバーのみさきと出会います。みさきは、左頬に傷があります。(家福と同じように、左になにかトラブル?がある!みさきちゃんも家庭環境が複雑)

で、すごく色々あって、2人は北海道の端っこまでいくんです。これは、右に行くということ。

本音へ向かうイメージですね!

ここで家福の座る位置が、助手席へ行き、右になる。(くぅ〜!)

長野あたりで、本音をぽつりぽつり話し出すのも、日本地図でいう右に来たからだろうと思います。そんで、北海道まで行って、家福は初めて自分の感情に気づくんです。音に腹が立っていること、でも猛烈に会いたいこと。そのときに、右目から涙を流すんですね。このときは西島さんの演技が圧巻でした。(惚れました)

でね、車のナンバープレートがこれまたすごいの。「3982」

村上春樹といえば、1984でしょ。

わかるかな?左の2が右に2足されてる。

左から右への合図なのよ!

 

このナンバープレートに私の心は射抜かれたね。

 

でも一体こんなこと、誰が気づいてるのか?

劇場には、2、30人の人がいて、ほとんどがおばちゃんおじちゃんで、20代は私くらいだったと思うけど、

このメタファーを汲み取って、示唆されているメッセージについて熱く語り合いたかったです。

そんな細部のことでなくても、芸術レベルが高くて、とても面白い映画でしたよ〜👍

 

ちなみに、手話、外国人が出てきて、セントリズムの見方をしたときにでも、すごく多方向のいい映画だったんじゃないかな、と思いましたね。村上春樹の作品には、そういう個性の強いキャラがたくさん出てきて、ときどきわたしの心にも住み着いちゃうんだよね。ありがた迷惑の時もあるけれど、そういうところも作品の力を感じて惹かれます。